Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

西洋古典

「小人島」再考

瀬川拓郎氏の『アイヌ学入門』を読んだがアイヌの歴史を文化の交流史として描き出しており、過度な理想化がされていない点で、より現実的なアイヌ像の理解に資する内容だった。 その中で第三章 伝説ー古代ローマからアイヌへーでは驚くべき事実が明らかにな…

小プリニウスの生き方についての雑感

小プリニウス(Gaius Plinius Caecilius Secundus)は名門カエキリウス家に生まれた。18歳にして最初の官職に就き、元老院階級の道を進んでいく。順調に出世していき、AD.100に38歳の若さで最高職である執政官に就任する。エリート中のエリートのキャリアを歩…

『童蒙をしへ草』でのソクラテス像

福沢諭吉『童蒙をしへ草』巻の三「怒の心を程能くし物事に堪忍し人の罪を免す事」の第十五章で、ソクラテスの怒りに関する逸話が出てくる1。読んでみるとプラトンの対話編ではソクラテスが言わなそうなことが、書かれていることにすぐに気づくだろう。そこで…

アナピアスとアンフィノムス

福沢諭吉の子供向けの本『童蒙をしへ草』は、チェンバース(William Chambers and Robert Chambers)のThe Moral Class-book (1839)の翻訳であり、イソップ寓話を含め、西洋古典の話も含まれている。その中で、第二章(ロ)には、親を大切にする若者の話として、…