Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 III 序文: 『数学について』 

はじめに

テキストはOroz Reta J. and Marcos Casquero, M.-A (eds), Etymologias: Edition Bilingüe, Madrid, 1983. を使用した。Berney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳も参照した。

また本箇所でイシドルスが用いたソースはカッシオドルスの『綱要』(institutiones), 2.2.4, 2.3.6, 2.3.21である。 以下のサイトでテキストを確認することができる。
https://www.documentacatholicaomnia.eu/03d/0484-0585,_Cassiodorus,_Institutiones_Divinarum_Saecularium_Letterarum,_LT.pdf

翻訳

第三巻序文

抽象的量について考察する学知はラテン語では'mathematica'と呼ばれる。ここで抽象的量とは知性によって質量から、あるいは他の偶有性から分離された量のことである。例えば推論(ratiocinatio)のみによって偶数や奇数や他のそのような量が考察される。数学の種は四つある。それは算術(Arithmetica)、音楽(Musica)、幾何学(Geometria)、天文学(Astronomia)である。算術とは数的量をそれ自体で考察する学である。音楽とは音において現れる数について語られる学である。幾何学とは大きさと形についての学である。天文学とは天体の運行と天体すべての形状と星の位置(habitudo)について考察する学である。それではこれらの学についてもう少し詳細に語ろう。そうそればそれらの原理(causae)が十分に明らかになるだろう。