Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 XII-1:38-40『家畜と役畜について』(ロバ)

はじめに

テキストはOroz Reta J. and Marcos Casquero, M.-A (eds), Etymologias: Edition Bilingüe, Madrid, 1983. を使用した。Berney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳を参照した。

翻訳

asinus(ロバ)とasellus(小ロバ)はsedere(座ること)に由来してそのように呼ばれる。あたかも語asedusであるかのようにである。馬に対しての方がよりふさわしいこの名前をロバが使ったのは、人間が馬を捕まえる前にロバを家畜化(praesidere1)し始めたからである。

この動物はのろまで、理由もなく抵抗するので、人間が望むとすぐに人間に服従した。Ongerとはasinus ferus(野生のロバ)のことである。なぜならギリシア人はasinusをὄνοςと呼び、ferusをἄγριοςと呼ぶからである。アフリカでは非常に多くの家畜化されていないロバ(onger)がいて、砂漠を放浪している。そして一頭のロバが雌ロバの群れを引き連れている。雄の子ロバが生まれた時、雄のロバは嫉妬して小ロバの睾丸を噛み切ってしまう2。なので警戒した雌のロバは子ロバを秘密の場所に隠すのである。

アルカディアから初めて運ばれてきた大きく古いロバはarcadicusと呼ばれる。そしてもっと小さな子ロバ(asellus)は畑により必要である。なぜなら労働にも耐えられるし、あまり面倒を見なくても良いからである。


  1. prae (前に) + sidere (座る).

  2. プリニウス『博物誌』8.108, アリストテレス『異聞集』10.