Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 XVIII-60,61, 62『ゲーム盤について』『サイコロ塔について』『駒について』

はじめに

テキストはOroz Reta J. and Marcos Casquero, M.-A (eds), Etymologias: Edition Bilingüe, Madrid, 1983. を使用した。Berney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳を参照した。

サイコロ塔の画像

Dice tower - Wikipedia

以下の論文には駒の画像がある。

https://halshs.archives-ouvertes.fr/halshs-02927544/document

Aleaというゲームについては次の論文も参照

https://www.jstor.org/stable/651038

翻訳

『ゲーム盤について』

盤上の遊びであるサイコロ遊び(Alea)はトロイア戦争で暇な際にギリシア人たち、とりわけAleaという名の兵士によって発明された。そしてそのことからこの技は名前を得ている。ゲーム盤はサイコロ塔と駒とサイコロと共に遊ばれる1

『サイコロ塔について』

サイコロ塔(Pyrgus)はその中をサイコロが通っていくこと、あるいは塔(turris)の形をしていることからそのように呼ばれる。なぜならギリシア人はturrisのことをπύργος (pyrgos)と呼んでいるからである。

『駒について』

駒(calculus, 小石)はすべすべしており丸いことからそのように呼ばれる2。それゆえ小石(lapis brevis)も駒(calculus)と呼ばれる。その小ささゆえに苦労せずに踏まれる(calcare)からである。同様に、駒がそのように呼ばれるのは盤上に並んでいる線をcallis(小道)のように進んでいくのからである。


  1. イシドルスの記述からはaleaのルールは不明であるが、盤上で駒とサイコロを使うことからバックギャモンの前身の一つと考えられている。

  2. “calculus"は"calx”(小石)に由来し、calxはギリシア語のχάλιξ (小石)との関係が推測されている。