はじめに
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グリベンコからハイティングへの手紙 (5) - Asinus's blog
翻訳
モスクワ 1933年10月12日
ハイティング様、
論理学についてのあなたのノートを受け取りました。しかもそれはよいタイミングでした。なぜならほぼ四年前から私はこの問題[論理学]の研究に戻ってきていたからです。さらに今年は大学の数学科で数理論理学のセミナーの指導を担当しています。実際、セミナーの仕事は公理的数学の非常に広い分野をカバーしなければなりません。その分野は論理学自体についての研究だけではなく、数理論理学における巧妙な手法が応用を見つけているような科学の分野をも含んでいます。カール・メンガーのGrundlagenfragen(数学基礎論の問題)1やフリッツ・クラインのTheorie der abstrakten Verknüpfungen(抽象的結合の理論について)2などです。私は既に今期のセミナーではあなたのチューリッヒでのノートについて取り扱いました。
今日はあなたにささいなお願いがあります。最近私はStieltjesの積分についてのロシア語で出版される予定の本を書きました3。校正刷りを受け取る前に、ロシア語への転記を完璧なものにするため名前"Stieltjes"をどう発音すればよいのかを知りたいです4。私はオランダ語を知らないので、お願いですがドイツ語で書かれているようにこの名前を書いていただけないでしょうか。オランダ語は語の音声が非常に簡単に表記され得るような[比較的]新しい言語のように私には思われます。
敬具
グリベンコより
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Glivenko, Stieltjes integral (in russian), Moscow-Leningrad, 1936↩
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日本語では「スティルチェス」と転記されるようである。
リーマン=スティルチェス積分 - Wikipedia↩