Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 II-1 修辞学とその名称について

はじめに

テキストはP.K.Marshell, Etymologies. Book II, Rhetoric with translation and commentaties, Paris, 1983. を使用した。また同書中の英訳とBerney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳も参照した。 また本箇所でイシドルスが用いたソースはカッシオドルスの『綱要』(institutiones),2.2.1 である。 以下のサイトでテキストを確認することができる。
https://www.documentacatholicaomnia.eu/03d/0484-0585,_Cassiodorus,_Institutiones_Divinarum_Saecularium_Letterarum,_LT.pdf

https://faculty.georgetown.edu/jod/inst-trans.html

翻訳

修辞学とその名称について

修辞学(rhetorica)とは公共の問題について適切に論じる知識である。雄弁(eloquentia)とは正しいことと善いことを説得するための流暢さのことである。rhetorica(修辞学)という言葉はギリシア語のretoresin (rhētorizein)、つまり話の流暢さ(copia locutionis)に由来する。なぜならlocutio(話, speech)はギリシア語ではresis (rhēsis)と呼ばれ、orator(弁論家)は[ギリシア語で]rhetor (rhētōr)と呼ばれるからである。さらに、修辞学は文法学の技術と連続している(隣り合っている)。なぜなら、文法学において正しく話すことの知識を学び、修辞学においてその学んだことをどのように表現するかを理解するからである。