Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 II-2 修辞学の技術の発見者について

はじめに

テキストはP.K.Marshell, Etymologies. Book II, Rhetoric with translation and commentaties, Paris, 1983. を使用した。また同書中の英訳とBerney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳も参照した。 この箇所はカッシオドルスの『綱要』には対応箇所がない。

翻訳

修辞学の技術の発見者について

そしてこの知識はギリシア人たち、つまりゴルギアスアリストテレス、ヘルマゴラスたちによって発見され、キケロクインティリアヌスによってラテン語圏へと移植された(translata in Latinum)。その豊富さとその多様な様に対しては読み手は明らかに称賛したが、[その技術を]把握することはできなかった。それというのも、書物を持っている時には言葉の繋がりが記憶に留まっているようであるが、書物を脇へ置くや否やすべての記憶が滑り落ちてしまうからである。(Nam membranis retentis quasi adhaerescit memoriae series dictionis, ac mox repositis recordatio omnis elabitur.) 修辞学(弁論術)を完全に把握することによって修辞学者(弁論家)となるのである。(Huius disciplinae perfecta cognitio oratorem facit.)