Asinus's blog

西牟田祐樹のブログです。

イシドルス『語源』翻訳 V-4 『自然法とは何か』

はじめに

テキストはOroz Reta J. and Marcos Casquero, M.-A (eds), Etymologias: Edition Bilingüe, Madrid, 1983. を使用した。Berney, Lewis, Beach and Berghof, The etymologies of isidore of seville, Camblidge University Press, 2006の英訳を参照した。

翻訳

自然法とは何か

法(jus)は自然法であるか市民法であるか万民法(jus gentium)であるかのいずれかである。自然法はすべての民族(gens, 国民)に共通である。自然法は自然本性(instinctus naturae)によって至る所にあるものであって、いかなる法令に含まれるものでもない。自然法は例えば以下のようなものである。

男女の婚姻、子供(liberi)の相続と養育、万物の共有の原則(communis omnium possessio)、全ての人間に共通の自由(omnium una libertas)1、空と大地と海から得られたものの取得、借用物または借用した金銭の返還、力による暴力への抵抗。

そしてこれ、あるいはこれに類似しているものは決して不正(injustus)ではなく、自然と公正なもの(aequum)に含まれる。